2016年月報4月号巻頭言「あなたの不安、もう既に」

彼女たちは、「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。ところが、目を上げてみると、石はすでにわきへ転がしてあった。(マルコによる福音書16章3~4節)

イエス・キリストが復活された朝、イエスの死を悲しむ婦人たちは、香料を買ってイエスの墓に向かいました。この時代は、墓に納められた遺体の腐敗を遅らせるために、一定期間遺体に香油や香料を塗る習慣があったのです。しかし、彼女たちが向かう墓の入り口は、非常に大きな石で塞がれていました。そのため彼女たちは、不安な気持ちを抱えたまま、イエスの墓に行ったのです。

ところが、目を上げてみると、石は既にわきへ転がしてありました。「目を上げてみると」と言うのですから、それまでの彼女たちの目は下ばかりを見ていたのでしょう。

しかし、「目を上げてみると」、すなわち天を見上げ、神を見上げてみると、彼女たちの不安はもう既に取り除けられてい私たちも、人生の中で様々な不安を抱えます。その時私たちの目はどこを向いているでしょうか。やはり、下を向いているかもしれません。それは、様々な問題の解決を、すべて自分だけの力で乗り越えなければならないのだと思い込んでいるからではないでしょうか。不安な時、悲しみの時、私たちも目を上げ、天を見上げ、神を見上げて祈りましょう。

あなたは一人じゃない。一人で頑張らなくてもいいのです。その不安はもう既に、神が取り除けて下さっているかもしれません。いや、必ずや、神がその不安を取り除けて下さいます。目を下に向けずに、目を上げて生きる。神を見つめて生きるこの道には、希望が絶えることはないのです。

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